■ 「遺言」のワンポイントアドバイスを受ける
■ 「成年後見」のワンポイントアドバイスを受ける

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■ まとめ
 〜 もえぎのワンポイントアドバイス 〜


 相続が開始したら

 ● 自筆遺言証書は勝手に開封してはいけない
 ● 相続財産の調査・遺産分割協議をするまで遺産を慎重に扱う
  (1)相続財産の売却・贈与はしない
  (2)故人の貯金から借金を返さない ……
 ● 3か月間にどうするか決める(単純承認・限定承認・相続放棄)
 ● 遺産分割協議をするときは相続人全員で!

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先妻のお子さんにも連絡を取らないといけない?!

「主人が亡くなったことを、わざわざ前の奥さんに連絡する必要なんてないわよね。向こうは向こうで再婚して幸せにやっているみたいだし」。……たしかに、
相続人になるのは現在の配偶者だけであり、先妻は相続人にはなりません詳細はこちら)。したがって、前の奥さまにご主人が亡くなったことを連絡しなかったとしても、法的には何も問題ありません。

 でも、
ご主人と前の奥さまの間にお子さまがいらっしゃる場合たとえ前の奥さまが再婚なさっていたとしても、そのお子さまがご主人の子であることに変わりなく、あなたとご主人の間に生まれたお子さまと同等の立場で相続人となるので気をつけてください。

「でも、その子に一度も会ったことがないし……。主人と生計をともにしてきたのはわたしたち親子なんだし、わたしたちだけで主人の遺産をどうするか話し合うことはできないのかしら?」。残念ながら、ご主人が遺言書を残していない限り、共同相続というかたちになり、
相続人全員で遺産分割協議をすることになります。だれかひとりでも相続人が欠けた場合、その協議は無効になってしまうので、先妻のお子さんにも連絡を取らなければなりません。

 ところで、遺産分割協議は相続人全員でしなければならないと申し上げましたが、相続人のひとりが
行方不明になっている場合はどうなるのでしょうか? 「まさか、さすがにその人にも参加してもらえとは言わないでしょう。そもそも物理的に連絡の取りようがないわけだし……」。いえいえ、いくら居場所がわからないといっても、その方も相続人のひとりなのですから、遺産分割協議には参加してもらわないといけません。ただし、ご本人ではなく、家庭裁判所にその方の財産管理を任された者が、代わりに参加すればよいのです。

 このように、遺産分割協議には、必ずしも相続人本人が参加することになるとは限りません。相続人が「成年被後見人」である場合には「成年後見人」が代わりに参加したり(詳細はこちら)、
相続人が未成年者である場合には親権者(親権者も相続人である場合は家庭裁判所に選任された「特別代理人」)が代わりに参加したりします。

■ 相続手続きの流れを知りたい

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おじいちゃんの遺言書を開けたらだめなの?!

「亡くなったおじいちゃんのタンスを整理していたら、遺言書が見つかった! 気になるから早く開けて読んでみよう」。と、お思いになったあなた、お待ちください! ご家族の方でも、おじいさまがご自分で作成された遺言書を勝手に開封してはいけないのです。勝手に開封すると、罰として5万円以下の過料の処分を受けることがあるので注意しましょう。この場合、「おじいちゃんの遺言書をみんなのいるところで開けてください。そして、この遺言書がちゃんとしたものだとほかの人にも言ってください」ということを家庭裁判所に申し立てなければなりません(これを「遺言書の検認手続きの申立て」といいます)。

 この申立てをすると、家庭裁判所から「遺言書を開けるから相続人は来てください」という通知がきます。そして、指定された日に相続人全員が家庭裁判所に集まり、みんなの見ているところで遺言書が開封されます。そして、家庭裁判所が「これはおじいちゃんが作成した遺言書で、だれも書きかえていません」という証として、検認済みの証明書をつけてくれます。この証明書と遺言書がセットになり、はじめてその後の相続手続で使える書類になります。

 以上のような検認手続きが必要なのは、おじいさまがご自分で作成された遺言書(これを「自筆証書遺言」といいます)の場合です。「公証人」という人に作成・保管してもらった遺言書(これを「公正証書遺言」といいます)の場合は、公証人が「これはおじいちゃんの意思により作成された遺言書です。なぜなら、このわたしがおじいちゃんから話を聞いて作成したからです」と証明してくれたことになるので、検認手続きは必要ありません。

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■ もえぎが聞いた噂
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■ 相続
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亡くなった人の借金は返すな?!

「お父さんのお葬式のあと、お父さんの知り合いから『早く借金を返してほしい』って言われたから、とりあえずお父さんの預金から10万円だけでも返しておこう」。借金を返すのは当然のこと……ですが、この場合は少しお待ちください。お父さまが生きていらっしゃる間でしたら、あなたは、お父さまが借りていたお金について法的にはなんの関係もありません。でも、お父さまが亡くなり、一応、あなたはお父さまの「相続人」になられたのですから、お父さまの預金や借金に関して慎重に行動していただかなければなりません。

「相続人になる」ということは、法的にお父さまに成り代わるようなものなので、預金や不動産が自分のものになるかもしれない代わりに、借金があればそれも返さなければならなくなるということです。「お父さんが残したものは借金しかないから相続人になりたくないんだけど」と思うときは、その旨を家庭裁判所に言いにいけば、相続人ではなくなります(これを「相続放棄」といいます)。ほかの相続人が何を思っているかにかかわらず、自分だけ相続放棄をすることはできます。

「預金もいっぱいあるけど、借金もいっぱいあるみたい……。もし借金のほうが多かった場合に、わたしの貯金からそれを払わなければならなくなるのはいやだなぁ。借金を返すのは相続財産の中からだけにするってことはできないのかなぁ?」。大丈夫です、そういう方法を採ることもできます(これを「限定承認」といいます)。でも、この方法は、相続人全員で「限定承認にしよう」と意見が一致した上で、財産目録を作成し、家庭裁判所に言いにいく必要があります。

「相続放棄」をするか、「限定承認」をするか、どの方法を採るかを考える時間は、@お父さまが亡くなったこと、A自分がお父さまの相続人になったこと、を知った時から3か月間しかありません(やむを得ない理由があって、どうしても時間が足りないときは、家庭裁判所に延長をお願いすることができます)。この間に何もしないと、普通に相続人になったことになります(これを「単純承認」といいます)。

 このほかにも、「相続人になる」とも「相続人にならない」とも言っていないのに、知らない間に普通に相続したことになってしまうケースがあります。それは、お父さまのもっていた高価な品物を売ってしまったり、お父さまの借金をお父さまの預金の中から返したり……、というふうに、お父さまの財産について、亡くなったお父さまに成り代わって(つまり相続人として)行動しているように見えるようなことをしたときです(品物が高価な場合は、「形見分け」も含まれるので注意しましょう)。

 きちんとお父さまの預金や借金を調査して、相続放棄をするか、または相続人全員で遺産をどうするかを話し合うまでは、お父さまの遺産から借金を返すのは待ってもらったほうがいいでしょう。

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